房総半島は紅葉の時期が遅く、11月下旬から12月上旬が見頃になる。房総丘陵の山間部は温暖な千葉県といえども昼夜の寒暖差は大きく、山肌が鮮やかな錦繍に染まる。
太平洋沿岸の勝浦は暖流黒潮と共にやってくる暖かい空気に包まれ、冬をあまり感じないが、房総半島内陸の山あいは暦通りの肌寒さ。ふらっと入った大多喜町の古民家レストラン「てぬぐい茶屋」では、薪ストーブが焚かれていた。
パチパチ跳ねる薪の音、炎のゆらぎ、優しい温もり…。温暖な千葉県で薪ストーブを置いている家は少ないので、なんだかとても嬉しい。身体の芯までじんわり温まる。
この「てぬぐい茶屋」は、新潟県から築百五十年の古民家を移築した建物で、ダイナミックな梁や柱は圧巻。広大な吹抜天井にはシャンデリアが吊され、レトロモダンな空間を創り出している。